Sayoko Quilt の制作について

2017-11-17

京都の手芸家、キルト作家 Sayoko のブログにお越し頂きありがとうございます。

 

 

昨日、大阪のパッチワークキルト教室の団体様18名が、貸し切りバスで、かやぶき美術館までお越し下さったとの事。遠い中ありがとうございました。

その時、タペストリーの制作についてのご質問があったようです。不在日で直接お答えできず申し訳ございませんでした。

私の作品、特に大作のタペストリーについての制作方法の質問で多いのが、どこから縫っていくのか ? です。

普通、絵キルトの場合、作品の下絵が書いてある大きな一枚布があり、その布の上にアップリケでまつりつけていく、、、というのが一般的なようですね。
たいていの方が空から縫っていくのだろうと思われます。空の布の上に重ねていくのだと思われる方が殆どですが、私の制作方法は違うのです。

私の技法は、ピースワーク (縫い合わせ) が第一。ピースワークに複雑なアップリケ技法をからませていきます。そうすることによって1000ピースを超える緻密な風景が現れていくのです。

 

私の作品は下から上に縫い上げていくもので、大きな下絵の一枚布は存在しません。

今回の「美山かやぶき物語」は、左下の3月の家から右に向かって4月、5月と螺旋状に上がって行く毎に季節が変わり、左上の2月の冬景色へと移っていくのですが、その順番通りに周りの景色をパズルの様に縫い広げていきます。
私のどの作品も一番下の近景から上に向かって縫い、一番遠くの空で仕上げとなります。

これは言葉では説明できないほど、複雑なもので、完成した作品からは、私自身も縫い順がわからないほどなのです。単純な縫い目は全て消されています。
一枚布がないという事は、歪まず縫う事に大変注意が必要です。

この技法は、独自で考案したもので、縫製には膨大な手間がかかり、大作タペストリーについては、10年以上教室に通われた生徒さんでも制作は不可能なほど複雑なのです。

作品の制作工程は、データで記録していますし、実物製図も残してありますから、いずれ機会が来ましたら、公開できると思います。

一枚の大きな下絵布が存在しない、という気持ちで作品をご覧になってみてください。不思議な感覚になって頂けると思います。